企業型DCとiDecoの違いとは

確定拠出年金には「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と「iDeCo」の2つがあります。なおiDeCoは、個人型確定拠出年金とも呼ばれます。私も混同していた部分があるので、企業型DCの開始後に学んだ点も踏まえ、この2つの違いを説明します。

企業型DCとiDeCoの違い


企業型DCとiDeCoには、共通する事項、異なる事項があります。まずは共通事項とそれぞれの特徴を上げてみます。

共通事項

運用益は非課税、また運用分の金額は所得税の控除対象となり、節税対策に。そして例外的な処置を除き、最低60歳までは拠出した金額の引き出しは不可。

企業型DC
在籍する企業によって運営機関が異なる。運用の手法も「マッチング拠出」と「選択制DC」の複数があり、前者は企業によって参加が必須の場合が多く、後者は自身の希望に応じて開始する。

<メリット>

  1. iDeCoより月々の拠出金は高く設定できる(選択制DCは最大で月5.5万円)
  2. 口座の維持費用は企業側が負担(従業員は無料)
  3. 社会保険料に対する節税対策になる(ただし選択制DCの場合は公的年金などに影響あり)
  4. 開始手続きはiDeCoより簡単



<デメリット>

  1. 企業により制度が用意されている場合とされていない場合があり、制度がない転職時に個人型確定拠出年金に移行が必要な場合がある
  2. 運営機関は企業が選択、加入者はその運営機関が用意する商品を選択する必要がある。
  3. 運営機関により商品ラインナップは異なり、基本として選択できる商品は少ない(平均で18~19本)
  4. 商品に用意される信託報酬(運営機関へ支払う費用)は、iDeCoと比較するとやや高い傾向がある
  5. 選択制DCの場合、社会保険料の節税対策がマイナスに働く場合がある


iDeCo
<メリット>

  1. 運営機関ごとに違いはあるが基本として商品ラインナップは豊富(SBI証券だと商品数が約80)
  2. 商品に設定される信託報酬は、企業型DCと比較して低い(ネット証券会社利用の場合)
  3. 転職などの際に口座を変更するなどの手間は発生しない(ただし、個人営業などになった場合は注意)



<デメリット>

  1. 開始までの書類手続きは企業型よりも多く、会社にもiDeCo開始時に確認が必要
  2. 運営口座の維持費用は個人負担(ただしネット証券などを選択すれば費用は安価)
  3. 開始した翌年は自身で確定申告の対応が必要


簡単に記載すると上記の様な形になります。

企業型DCの最大のデメリットは「選択できる商品の少なさ」「信託報酬の高さ」になると思います。豊富な商品、かつ信託報酬が低い商品で運用したい場合は、開始時の手間はありますがiDeCoの方が良いです。
また、転職先で企業型DCの制度がない場合、強制的にiDeCoに移行する必要があります。転職は長い社会人生活で十分にあり得る事象なので、その点が気になる方はiDeCoを選択した方が無難です。

iDeCoではなく企業型DCを選ぶメリット


企業型DCを選ぶ最大のメリットは「開始するまでの手続きが簡単」であること、また月の拠出額は最大で5.5万円まで設定できる(選択制DCの場合)ことです。基本として会社が用意する申込書、また商品の選択(と割合決定)のみで開始できるため、私の様に「手続きの煩雑さが面倒」という方は企業型DCを選択する、ということでも良いと思います。

2020年は新型コロナウイルスなどの影響もあり、個人的には資産運用について調べる時間ができで特定株銘柄購入(NISAの利用)も行っていましたが、「資産形成で最も効果的」と感じるものは積立型の投資信託の運用、更に言えば企業型DCやiDeCoのような制度を利用する事と結論付けました。その理由はおいおいとブログでまとめていきたいと思います。

確定拠出年金開始時の拠出額や運用商品選択の検討ポイントについては、以下の記事をご覧ください。
企業型確定拠出年金(企業型DC)申し込み時の拠出額と運用商品選択のポイント


【追記】
2022年10月から確定拠出年金制度が変更になり、企業型DCとiDeCoの併用が容易になります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
企業型DCとiDeCo併用が容易に。2022年10月の要件緩和の詳細と併用のメリットとデメリットを考える。(2021/12/12)

著者:gnc21
東京都在住。Webサイト・スマートフォンアプリのデータ計測支援や分析業務を行う会社員。
企業型確定拠出年金の運用を2020年より開始。投資運用経験は企業型確定拠出年金のほか、一般NISAによる国内株式の特定銘柄購入、投資信託やETF購入が中心。


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