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iDeCo、企業型DC、つみたてNISAを比較する

確定拠出年金とつみたてNISAの制度の違いについて質問をいただく機会があったので、比較を行いました。これらはいずれも積立投資による資産運用になりますが、異なる点を中心に比較しながら、選択するポイントを考察してみます。

iDeCo、企業型DC、つみたてNISAの比較表


iDeCo、企業型DC、つみたてNISAそれぞれを比較した表を作成しました。
iDeCo・企業型DC・つみたてNISAの比較
なお、上記の表は会社員を想定して作成しました。自営業の方はiDeCo拠出可能な上限額は異なります。また、企業型DCは実際には会社により導入制度が異なるので、詳細はご自身の会社ご担当者へ確認することを推奨します。なお、私の所属企業では企業型DCの導入制度は選択制DCです。

上記の表で振り返ると、大きな違いは以下の3点です。

  1. つみたてNISAは節税効果は運用益非課税のみ。
  2. iDeCo、企業型DCは引き出せるのは60歳以降から。一方のつみたてNISAはいつでも引き出しができる。
  3. 運営機関によるが、iDeCoとつみたてNISAは選択できる運用商品が多く、企業型DCは少ない

この点を踏まえ、iDeCoあるいは企業型DC(これらは確定拠出年金)とつみたてNISAの違いを深堀してみます。

確定拠出年金とつみたてNISAの違い


比較表から見ると節税効果はiDeCoや企業型DCの方に軍配が上がります。ただし、引き出せるのは何歳に開始したとしても、例外事項を除き60歳からとなります。開始が23歳であれば37年は引き出せませんし、開始が40歳であれば20年は引き出せない、という事です。
一方でつみたてNISAは資金が急遽必要になった場合など、最悪いつでも引き出しが行えることが大きなメリットです。もちろん積立投資は長期に渡って運用しなければ運用益は期待できませんので、つみたてNISAも最大20年間の運用が好ましいのは事実ですが、仮に25歳から開始したとして、45歳時点で20年の運用に到達するし、最悪何かしらのライフプランの都合で10年の運用で切り上げざるを得なくなれば、35歳の時点で引き出すこともできます。この辺りは、つみたてNISAの方が融通は効くと思います。
なお、積立投資における長期に渡る運用益は複利による効果となります。金融庁が用意するシミュレーション機能で月に3万円、利回りを3%期待した際の30年間の運用成果を出した例が以下になります。
積立投資の運用益シミュレーション
資産運用シミュレーション(金融庁)
上記のシミュレーションを見ても、長期運用が運用益アップに繋がる点は認識しておくべきポイントだと言えます。

つみたてNISAと一般NISAの違い


NISAに関して補足をすると、実際には「つみたてNISA」と「一般NISA」の2種類があります。この2種類についても簡易的にですが表を作りました。
つみたてNISAと一般NISAの違い
なお、この表は2022年1月時点の制度内容で作成しています。一般NISAは2024年から制度変更が予定されています。
新しいNISA制度(金融庁)
また、一般NISAの最大運用期間は5年ですが、この期間を延長したい場合は「ロールオーバー」で繰り越せることができます。ただしロールオーバーを行うためには運用5年間が終わる前に申込が必要になるので、運営機関のQAなどで確認をお願いします。

また注意点としては、つみたてNISAと一般NISAは、同じ年に両方の制度を利用することは不可となっています。私の場合は現在は一般NISAを選んでいます。当初は単純に株式も購入できるなど選択できる商品幅が広いことが理由でしたが、現在はロールオーバー利用も見越して投資信託商品を購入しています。一般NISAでも一括で購入せずとも毎月一定額で購入していく事は可能なので、つみたてNISAより最大3倍拠出できる計算になるためです。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2021 」結果について


iDeCo・企業型DC・つみたてNISAの違い、またつみたてNISAと一般NISAの違いに触れてきましたが、そもそもでどれを選択しようが、必ずやらなければならないのが運用商品の選択です。特に投資信託については運用商品が非常に多いので、結局どれを選択すれば良いのか当初は判断できないと思います。
iDeCoや企業型DCにはスイッチングあるいはリバランスという方法で運用商品変更や配分変更が可能ですが、いずれにせよ運用商品に対する理解は必要です。
その参考になりそうな情報として「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」というものがあります。つい最近、2021年の結果が発表されました。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2021 」結果発表(2022/1/23 投信資料館)
実際には20位まで発表されているのですが、上記URLからは10位までが確認できます。これらの投資信託商品がどのようなタイプであるかを研究すると、運用商品の理解が進むと思います。例えば1位となった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」ならば、この商品名で検索すれば以下のページにたどり着き、そのページ内にある交付目論見書を見ると、どのような商品なのか、理解促進が進むと思います。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(三菱UFJ国際投信株式会社)

少し地味な作業ですが、商品の傾向を理解していく事で、自身がどのような運用商品が合うのか考え方を整理できると思います。運用開始から間を開けずに着手すれば、その後はほったらかしながら運用成功する事にもつながると思います。
【本ブログ参考記事】
企業型確定拠出年金やiDeCoを放置(ほったらかし)で運用する条件5選(2021/8/1)

著者:gnc21
東京都在住。Webサイト・スマートフォンアプリのデータ計測支援や分析業務を行う会社員。
企業型確定拠出年金の運用を2020年より開始。投資運用経験は企業型確定拠出年金のほか、一般NISAによる国内株式の特定銘柄購入、投資信託やETF購入が中心。