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2021年末にスイッチングを行っていたら運用益は維持できていたのか?

2022年に入ってから金利引き上げやウクライナ情勢などの影響で株価は大幅に下落しましたが、折角なのでこの機会に「2021年末にスイッチングを行って一定の運用益を維持しておくべきだったのか?」考えてみたいと思います。

確定拠出年金における「スイッチング」について


まずはスイッチングについて簡潔に説明すると、「保有している運用商品を売却し、その売却額で別の運用商品を購入する」運用手段です。企業型DC、iDeCo問わず確定拠出年金の場合はスイッチングは運用中に何度でも行う事が可能です。
スイッチング
なお、私の場合は三菱UFJ信託銀行で企業型の確定挙手年金(企業型DC)を運用していますが、Webサイト管理画面では「運用商品預替」とお固い名称となってます。正直なんて読むのか最初は分かりませんでした。

スイッチングによるメリット


このスイッチングが運用中に何度でも可能な事によるメリットは以下が挙げられます。

  1. 確定拠出年金を開始した時点で知識が足りずに魅力的ではなかった運用商品を売却し、保有割合を多くしたい運用商品を購入できる
  2. 運用終了近付いてきているタイミングで元本変動型商品を売却、代わりに元本確保型商品を購入する(利益確定が目的)
  3. 当初想定していたポートフォリオ(運用商品カテゴリの保有割合)と実態が乖離している為、計画していた割合に戻す(例えば株式商品60%、債券商品40%にするなど)


私の場合、このブログで過去に触れていますが、企業型DCを開始した当初はラインナップに20本程度あった各運用商品を均等に購入していました。商品の特徴や違いを理解していなかったからです。その結果、元本確保型商品が7本程度あったので約30%ほど購入していた形となっていました。その後、各運用商品の特徴を理解した結果、元本確保型商品は不要という判断をして、その際に元本確保型商品をすべて売却して、パッシブ型(インデックスファンド型)の外国株式を購入しました。
この様な形で、運用開始時に選択を誤った(理解せずに運用商品を選択していた)場合に修正する形でスイッチングができることは確定拠出年金における大きなメリットだと思います。ただし、スイッチングは確定拠出年金では何度でも行えるのは事実ですが、運用商品によっては売却時に信託財産留保額(売却時手数料)が設定されている場合があり、そのような商品は売却金額から手数料が差し引かれます。この点は注意が必要です。
また余談ですが、確定拠出年金に近い長期投資タイプである「つみたてNISA」の場合はスイッチングで別の運用商品を購入する際は制限がありますので、注意が必要です。
NISA口座で収益分配金の再投資やスイッチングを行う場合、その分の非課税投資枠が必要です。収益分配金の再投資やスイッチングは、新規購入の場合と同様に非課税投資枠を利用します。そのため、その年の非課税投資枠(つみたてNISAの場合は40万円)を使い切っている場合、NISA口座内での収益分配金の再投資やスイッチングはできません。

金融庁 分配金再投資とスイッチング

また、まだ私の場合は企業型DCの運用終了までは随分先になりますが、運用終了まで10年、あるいは5年を切ったタイミングに入ったら、これまでの運用益を確定させるためのスイッチングは行うと思います。2022年1~2月の株式市場を見てしまうと、さすがに運用終了直前まで株式商品の保有を維持する勇気は出ません。


効果的なスイッチングを行うには


間違って選択していた運用商品を入れ替える、あるいは運用終了に備えて元本確保型商品に入れ替える以外ではスイッチングをどのように行うべきなのか?それが今回年始から実際に発生した株式下落に備えたスイッチング(そしてリバランス)の実施になるのかな、と思います。私の場合は昨年から運用商品の構成は放置する、あえてほったらかしにしておくことを選択したのですが、堅実に行うのであれば年1回のタイミングで十分に利益を得た場合に一旦別の運用商品に切り替える、という運用でも良いのかもしれません。

例えば毎年年末のタイミングで、「ここまで株式型商品の保有割合を大きくするつもりはなかった、運用益も予定以上に大きくなったので、予定より割合が多くなった分は売却して、その売却分で債券型商品(あるいは元本確保型商品)を購入しよう」といった運用です。もし年末に同様の考え方を行った方がいたら、その方は現在もある程度運用利回りが好調なのだろう、と感じます。
実際にこの様なスイッチングを行っていた方が居たとしたら、その方は直近の株式市場にとらわれず、年1回あるいは年2回と計画的に運用を見直せるクレバーな方なのだろうとは思います。そもそもで確定拠出年金のスイッチングは実際にはすぐに売却は成立せず、1週間ほどは猶予が必要です。つまり目先の株価に慌てて「すぐにでも保有株式を売却したい」という事は出来ません。計画的に売却と購入を行う必要があります。

私自身は基本としてほったらかしで運用したい人間なのですが、この年始の大幅な株式下落を経験したことを受け、改めて有効なスイッチングによる運用は考えてみても良いかと思い、記事にしてみました。最低でも年末に定期的にスイッチングを行う運用の方が最終的に運用益面で優位に立てるのか、それとも(運用終了間際である場合を除き)意図的にほったらかしで運用すべきなのか、今後も勉強していきたいと思います。

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著者:gnc21
東京都在住。本業はWebサイト・スマホアプリのデータ計測支援や分析業務を行うアナリスト。
企業型確定拠出年金の運用を2020年より開始。投資運用経験は企業型確定拠出年金のほか、一般NISAによる国内株式の特定銘柄購入、投資信託やETF購入が中心。