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2028年よりNISA制度が変わるかもしれない…確定拠出年金はどうなる?

8/24(水)の日本経済新聞で「NISA、長期運用に重点 「資産所得倍増」へ一歩」という記事がアップされ、Twitter中心に話題になっています。

金融庁による少額投資非課税制度(NISA)恒久化の要望について


今年になってから岸田首相が「資産所得倍増計画」を声高に打ち出していますが、金融庁がこの流れに乗ってNISA制度の見直しを要望している模様です。
岸田文雄首相が掲げる「資産所得倍増プラン」が具体化に向けて動き始めた。金融庁は2023年度の税制改正に向け、少額投資非課税制度(NISA)を恒久化するよう要望する。生涯どのタイミングでも非課税で投資できる仕組みにし、中間層の長期投資を促す。度重なる要望で制度が複雑になっており、国民にわかりやすい制度に刷新できるかが焦点だ。


日本証券業協会は7月にまとめた提言で英国の非課税投資制度「ISA」並みの上限額を要求した。上限拡大の案として、一般NISAを年120万円から240万円に、つみたてNISAを40万円から60万円に引き上げる例を示した。併用を前提とし、最大の投資額は合計300万円になる。

「NISA、長期運用に重点 「資産所得倍増」へ一歩」から抜粋

個人的には、現状のNISA制度は一般NISAかつみたてNISAかのどちらかしか運用できない点は不満があります。1年間に許容される金額も異なるので、どちらを選択すべきか悩ましいのが事実です。結局、現状は上限額の関係で一般NISAを選択していますが、本当はつみたてNISAで運用したい、と思っています。理由としては、確定拠出年金の運用をつみたてNISAでも適用すれば良い(もちろんこれは個人ごとに考え方は異なると思います。あくまで私個人の意見)ので、そこまで手間にもならない筈と考えています。
いまは一般NISA枠での運用になっているので、特定銘柄で攻めるべきか、あるいは投資信託で一括購入で進めるべきか悩みながらやっています。これが併用できるようになるなら、

  1. つみたてNISAは、確定拠出年金と同等のポートフォリオで運用
  2. 一般NISAは高配当の銘柄もしくはギャンブルでテンバガー狙い

この様な形で戦略を考えながら運用できそうだな、と思っています。

各国の少額投資非課税制度との差


この要望が出ている背景の一つとしては、国内のNISA制度の分かりづらさもある様です。そもそもで、NISAも少し分かりづらいと記事では若干ディスられていますが。ちなみにNISAは、そもそもは英国のISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)制度の日本版という事で、冒頭に「N」がついてNISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)と呼ばれる様になりました。Jだと発音がややこしくなるから、Nにしたんでしょうね、きっと…。

つまり、そもそもは英国の制度のモデルをベースに用意されたものですが、英国ISAでは年2万ポンド(約320万円!)まで制度の利用ができるそうです。現状の一般NISAの上限が120万円なので、約200万円ほど上限に違いがあります。

また米国は国内では廃止になるジュニアNISAのような「529プラン」というものがある様です。
私大学費は年400万円 米国人は「529プラン」で備え(2018/1/25 マネー研究所)

こういう記事を見ると、ジュニアNISAも知名度、認知度を上げていれば加入者がもっと増えていたかもしれないですね。

確定拠出年金制度への波及はどうなる?


今回の記事はあくまでNISA制度に焦点が当たる状況となっていますが、上限についていうなら、確定拠出年金制度もぜひ考えて欲しい。現在は企業型DCだと年間66万円まで、iDeCoだと年間27.6万円まで(会社員のケース)となっており、10月の要件緩和で併用を行ったとしても上限は年間66万円までです。
以前に米国の確定拠出年金制度との違いを調べてみたところ、米国の場合は年間で約520万円まで運用できる様なので、確定拠出年金制度も上限額の増加を検討してもらえないか、と期待しています。そうなれば、以前から興味関心があったiDeCoとの併用が現実味を増してきます。

一方で少し気になる点として。今回の流れは「貯蓄から投資へ」の流れに向けて非常に分かりやすい例だな、と思っていますが、金融投資をするにしても、手元には生活資金は当然必要となります。その生活資金の改善に向けた動きはあまり見受けられない状態なので、所得倍増計画と銘打つのであれば、投資面以外の打開策が出てくることも期待しています。ただでさえ、この20年で手取り支給額は減少傾向で、もちろん復興のための税金など理解ができる内容もありつつですが、それでも腑に落ちない部分はどうしてもあるので。

著者:gnc21 Twitter
東京都在住。本業はWebサイト・スマホアプリのデータ計測支援や分析業務を行うアナリスト。
企業型確定拠出年金の運用を2020年より開始。投資運用経験は企業型確定拠出年金のほか、一般NISAによる国内株式の特定銘柄購入、投資信託やETF購入が中心。