企業型確定拠出年金やiDeCoを「ほったらかし」で上手に運用する条件

企業型確定拠出年金やiDeCoは原則として最低60歳まで引き出せません。制度の特徴からしても加入者の大半は最低15年以上は運用する方が多い筈なので、今回はそんな長期に渡る確定拠出年金を「ほったらかし」で上手に運用する条件を考えてみます。


管理画面へのログイン方法を把握する


企業型確定拠出年金に加入した方でありがちなのが、運用開始後に運営機関の管理画面(Webサイト)のログインを行わず、そのまま放置する行為です。この「ほったらかし」は避けた方が良いです。
おそらくiDeCoを選択して運用している方は主体的に行っているため管理画面ログインが分からない、という方はほぼ居ないでしょうが、企業型確定拠出年金は会社により加入が義務付けられ、受け身的な形で開始するケースが多いのでログイン未経験の方も多い印象があります。
加入登録のお知らせハガキの例(三井住友海上社サイトの関連ページ)

企業型確定拠出年金の場合は開始後にすぐにログインに必要な情報が手元に無い(約1か月後にハガキが届く)ために発生しがちですが、運用開始後のスイッチングやリバランスはすべて管理画面を通じて行うので、ログイン方法は把握しておく必要があります。
また、個人的な意見としては、スマートフォンよりもPCで管理画面にログインした方が良いと思います。スマートフォンでスイッチングやリバランスを行うのは画面表示サイズの都合から結構大変で、PCで行った方が圧倒的に楽です。

運用商品の特徴を把握する


確定拠出年金をある程度ほったらかしにしておくためには、運用商品の理解に努め、納得した形で選択しておく必要があります。
企業型確定拠出年金はそもそもで選択できる商品は多くても20点程度ですが、iDeCoは運営機関によっては100本近いケースもあるのでは、と思います。様々な商品に目が行ってしまうと思うので、商品を選択するにあたってポイントになりそうな点を挙げてみます。
・元本確保型商品と元本変動型商品の構成をどうするか
企業型DCの商品カテゴリーは大きく分けて7つに分けられますが、リスクとリターンを簡潔にまとめると以下のようになります。
確定拠出年金の商品一覧
リスクが少ないのは元本確保型商品ですが、それでは資産は全く成長しないので個人的には推奨していません。特に40代までは元本変動型を中心に選択して資産の成長を狙う方が良いのでは、と感じます。その背景は過去に記事でまとめました。
考察:投資は行うべきなのか?資産運用の視点で考える(2021/3/14)
なお、バランス型商品の詳細は以下の記事もご覧ください。
運用商品選択に向けて~バランス型商品の特徴と活用に向けたポイント(2021/3/20)

・元本変動型商品の運用タイプは「パッシブ型(インデックス型)」「アクティブ型」のどちらで、信託報酬の設定はどうなっているか
一般的には信託報酬はアクティブ型の方が高くなります。アクティブ型は投資機関のアナリストが知見を通じて大きなリターンを求めて運用するタイプの商品なため、その分の工数として信託報酬が高く設定されます。一方のパッシブ型(インデックス型)は経済指数を基に運用見直しをするタイプになるので、信託報酬は安く設定されているケースが多いです。
パッシブ型とアクティブ型のどちらが良いかは様々な意見があり、どちらが正解かは結論付けが難しいのですが、この違いを理解した上で商品を選択すべきだとは思います。ちなみに私は「パッシブ型」中心で選択していますが、信託報酬の支払額を抑え、利益も地道に積み上げられれば良いかな、という判断です。

・投資対象はどうなっているか
例えば株式商品、は国内、外国と対象が異なります。外国株式商品はさらに商品によって投資対象が異なり、「日本を含めた先進国」「日本を除く先進国」「新興国」「全世界」「米国のみ」といった違いがあります。企業型確定拠出年金の場合だと、このうち2~3種類くらいしか商品が用意されていないでしょうが、これらの商品から狙い撃ちで1点選択か、ある程度分散するかは検討が必要です。
なお、外国株式型商品の詳細は以下の記事でご覧ください。
「米国」「先進国」「新興国」・・・外国株式各ファンドの違い(2021/7/23)

開始後、半年以内にスイッチングとリバランスが必要かを考える


「商品理解に努めて選択を」とは記載しましたが、実際には開始当初からそこまで精緻な状態で運用するのは非常に難しいと思います。正直運用を開始してみないと実感できないことも多いだろうし、数字を見ないとイメージも湧かないことが大半だと思います。
そのため、開始してから半年後を目途にリバランスやスイッチングを行うと良いと思います(もちろん開始から意図通り運用できている場合は、リバランスやスイッチングは必要ではありません)。
確定拠出年金では、リバランスは何度でも行う事ができます。ただリバランスが実際に反映されるのは、次回の拠出額が反映されるタイミングからになります。大体のケースで拠出額が反映されるのは月末が多いのでは、と思いますので、月の上旬に行うのが良いかと思います。

一方でスイッチングは商品の入れ替えになりますが、これも何度でも行う事は可能です。ただスイッチングは商品によって売却に必要な費用が発生します。この費用を信託財産留保額と呼ばれる様ですが、各運用機関の説明を確認してから実施した方が良いと思います(そのため、あまり頻度高く行う事は私自身は推奨しません)。
投信のコスト、信託財産留保額って知ってる?(ダイヤモンド・オンライン 2018/12/19)

実際のリバランスやスイッチングについては以下の記事が参考になれば幸いです。
リバランスとスイッチング

運用実績を最低半年に1度は確認する


開始から半年の間でリバランスやスイッチングまで対応すれば、その後は「ほったらかし」で良いと思っています。月ごとに運用利回りの変動はあると思いますが、確定拠出年金の運用変更は数日経たないと反映されず、デイトレードの様なリアルタイムの運用見直しは不可です。

ただ、運用実績は半年に1度は確認した方が良いと思います。より正確に書くと、半年に1度管理画面にはログインしておく方が良いと思います。理由としては実は商品の追加などがその間に発生しており、その商品が魅力的な内容であれば、新たにポートフォリオに加えることを検討できるからです。
特にiDeCoに関しては商品追加は競合他社との優位性を出すためにも積極的に行っているのでは、と推察します。そのような新規情報を見逃さないために半年に1度ログインしておくと良いと思います。
・商品ラインナップ変更例
「iDeCo(イデコ)」の商品ラインアップ大幅拡充のお知らせ(松井証券 2020/10/7)

また、運用実績(運用利回り)は今後どこかのタイミングで元本変動型商品(特に株式型商品)が価格が急下落することがあるかもしれません。その際にいったん元本確保型にスイッチングして利益を確保する、といった運用もあるかもしれませんが、長い目で見れば回復する可能性があります。
例えば2007年のリーマンショックだと、その後約5年で株価は回復したようです。ですので、まだ確定拠出年金の終了まで10年以上あるのであれば、実はそのまま放置しておく、という運用を選択する事も視野に入れても良いのでは、と思っています(※あくまでこれは個人的な見解なので、最終的にはご自身で判断してください)。

運用の大幅な見直しは50代になってから


これまで「ほったらかし」にする条件を記載していきましたが、50代になってからは運用の方向性は考えていく必要があると思います。

  1. リスク回避でこれまでの利益を確定させておく(元本確保型商品にスイッチングし、これ以上利益を伸ばさない)
  2. もう少し様子を見て利益を伸ばす判断する

どちらかの選択になるかと思いますが、完全に「ほったらかし」にしたいなら前者という事になります。少なくとも今まで積み上げた利益はなくならないので。この点は終了後に確定拠出年金の積立額目標次第だと思います。事前に運用利益の目標額を考えておけば、その時点でどれだけ達成しているかで判断する、という選択が確実なのかと思います。あまり冒険し過ぎて世界経済の不況を迎えてしまい、それまでの利益を損失してしまうくらいなら「目標に達しているし確定してしまう」という安全策はありなのかな…と思います。
一方で「もう少し様子を見て利益を伸ばす判断する」場合は、最低でも1か月に1度はチェックするようにした方が良いと思います。この場合は「ほったらかし運用」は諦めてもらった方が良いと思います。

これまで記載したことをまとめると、良い形で確定拠出年金の運用を「ほったらかし」にしたいのであれば、開始後から1年以内に運用の見直しをある程度行っておくことが肝要だと思います。その部分にちゃんと着手しておけば、その後はある程度ほったらかしにできると思います。

著者:gnc21
東京都在住。Webサイト・スマートフォンアプリのデータ計測支援や分析業務を行う会社員。
企業型確定拠出年金の運用を2020年より開始。投資運用経験は企業型確定拠出年金のほか、一般NISAによる国内株式の特定銘柄購入、投資信託やETF購入が中心。