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iDeCoとの比較で「選択制DC」企業型確定拠出年金のメリット・デメリットを検証
iDeCoとの比較で「選択制DC」企業型確定拠出年金のメリット・デメリットを検証
企業型確定拠出年金は、会社によりマッチング制あるいは選択制と導入制度が異なりますが、私の会社では選択制を採用しています。このパターンは「選択制DC」と略されるケースが多いのですが、今回はiDeCoとの比較から選択制DCのメリットとデメリットを検証してみます。
まずはiDeCoと企業型確定拠出年金の制度の違いについて比較してみました。

※この表は会社員を想定して作成しています。自営業の方はiDeCoで拠出可能な金額は異なります。
※企業型確定拠出年金は会社により制度が異なるケースが多いので、ご自身の会社担当者へ確認してください
私自身は選択制DCで運用しているので、その立場でiDeCoとの違いを挙げていくと、
この辺りが挙げられます。
この比較で見ていくと、選択制DCでは選択できる商品が少ない点がデメリットです。一方で、月の拠出額は最大で5.5万円まで可能なので、iDeCo(最大2.3万円)よりも倍以上の金額で確定拠出年金の運用が可能である点がメリットです。
選択制DCの場合は社会保険料控除も節税できる要素になりますが、これについてもメリットとデメリットがあります。具体的なメリットとデメリットは何か?という点ですが、選択制DCにおける「社会保険料控除」とは、すなわち厚生年金に影響する部分になります。
例えば、選択制DCで月3万円拠出していた場合、月の給与が40万円だった場合に、3万円分が拠出額となるので「その月の給与は37万円」として扱われます。厚生年金では標準報酬月額として定められている等級があり、このケースでは一つ下の等級としてみなされるので、その分税金は安くなります。つまり、これを月々継続していけば、控除される金額が蓄積されていくので、大きな節税メリットとなります。
一般・坑内員・船員の被保険者の方(令和3年度版)(PDF 335KB)(日本年金機構)
ただ、この社会保険料控除についてはデメリットもあります。わかりやすい例が老後の年金で、受け取れる受給額に影響します。それ以外にも「出産手当金」「育児休業給付金」の受給額にも影響します。この点は私も開始時には認識できていなかったのが事実で、本当は加入する前に事前に周知されるべきポイントなのでは?と感じます。
この社会保険料への影響について詳しく解説した外部記事があったので、下記に紹介します。
年金が288万円も減る 確定拠出年金「選択制」はヤバいのか(プレジデント・オンライン)
ここまで触れた厚生年金への影響について補足します。上記で触れたとおり、等級(報酬月額)が変化するために将来の受給額に影響が発生しますが、そもそも給与が高く等級が既に32等級の場合はこの点は気にせずで問題ありません。つまり、給与が高い人であれば所得税や住民税など節税効果が非常に高いため、最大で5.5万円拠出できる企業型DCはiDeCoよりも節税メリット面で有利になります。
その一方で、若手社会人の方は拠出額のコントロールを意識した方が良いかもしれません。節税の部分だけ意識してしまうと、ライフイベントに因んだ受給額に影響が生じます。
なお厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、所得税、住民税それぞれに対する節税メリットを確認したい場合は、SBI証券のシミュレーションを利用すると詳細が把握できます。詳しく確認したい方は活用してください。
加入効果シミュレーション(SBI証券)
この社会保険料控除のメリット・デメリットを踏まえると、正直iDeCoの方が複雑ではない印象があります。ただでさえ現在の企業型DCは制度が複雑でややこしいし、老後の年金にどの程度の影響が生じるのか、生活需給制度にどの程度影響するかを網羅的に把握するのは一苦労です。
そして、もし転職が発生した際も「iDeCoへの移管」もしくは「転職先企業の運営機関への移管」が発生します。であれば、最初からiDeCoの方が楽なのでは…と思ってしまいます(補足:転職先が企業型確定拠出年金を採用していた場合は、そもそもiDeCoの運用がNGになるケースもある様です)。
選択制DC加入者にとってはメリットよりもデメリットを多く挙げてしまう内容になりましたが、希望の光があるとしたら、2022年に予定されている制度改正です。制度が変わる点はいくつかありますが、2022年10月からはiDeCo加入要件が緩和され、企業型確定拠出年金加入者が併用できる可能性が高まりました。
企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和(2022年10月1日施行)(厚生労働省)
この緩和により、あまり意識せずに選択制DCを選択してしまった私の様な加入者でも、iDeCoに加入できる可能性があります。ただ、この緩和後も「最大拠出額は月5.5万円まで」となる様なので、すでに現在5.5万円拠出している方は拠出額を減らしておく必要があります。大体の企業で拠出額変更が行えるのは年1回なので、この調整が面倒ではありますが、気になる方は来年10月までまだ時間があるので、ご自身で調べてみてiDeCoとの併用が行えるかを会社担当者に確認したり、併用する場合に拠出額のバランスをどうするのかを検討すると良いと思います。
私自身もiDeCoを併用することで、これまで選択できなかった運用商品への拠出が可能になる、転職時の負荷が減る可能性も考えられる、というメリット面を感じているので、来年10月に向けて要件緩和の件は調べていきたいと思っています。
【追記】
要件緩和について記事をアップしました。
【2022年10月施行】企業型DC加入者のiDeCo併用に向けた要件緩和について(2021/12/12)
iDeCoと企業型確定拠出年金の制度の違い
まずはiDeCoと企業型確定拠出年金の制度の違いについて比較してみました。

※この表は会社員を想定して作成しています。自営業の方はiDeCoで拠出可能な金額は異なります。
※企業型確定拠出年金は会社により制度が異なるケースが多いので、ご自身の会社担当者へ確認してください
私自身は選択制DCで運用しているので、その立場でiDeCoとの違いを挙げていくと、
- 事務手数料(口座維持管理費など)は会社負担
- 単月における最大拠出額が異なる
- 節税については社会保険料も対象
- 商品ラインナップ数は少ない
この辺りが挙げられます。
この比較で見ていくと、選択制DCでは選択できる商品が少ない点がデメリットです。一方で、月の拠出額は最大で5.5万円まで可能なので、iDeCo(最大2.3万円)よりも倍以上の金額で確定拠出年金の運用が可能である点がメリットです。
選択制DC加入で生じる社会保険料控除のメリット・デメリット
選択制DCの場合は社会保険料控除も節税できる要素になりますが、これについてもメリットとデメリットがあります。具体的なメリットとデメリットは何か?という点ですが、選択制DCにおける「社会保険料控除」とは、すなわち厚生年金に影響する部分になります。
例えば、選択制DCで月3万円拠出していた場合、月の給与が40万円だった場合に、3万円分が拠出額となるので「その月の給与は37万円」として扱われます。厚生年金では標準報酬月額として定められている等級があり、このケースでは一つ下の等級としてみなされるので、その分税金は安くなります。つまり、これを月々継続していけば、控除される金額が蓄積されていくので、大きな節税メリットとなります。
一般・坑内員・船員の被保険者の方(令和3年度版)(PDF 335KB)(日本年金機構)
ただ、この社会保険料控除についてはデメリットもあります。わかりやすい例が老後の年金で、受け取れる受給額に影響します。それ以外にも「出産手当金」「育児休業給付金」の受給額にも影響します。この点は私も開始時には認識できていなかったのが事実で、本当は加入する前に事前に周知されるべきポイントなのでは?と感じます。
この社会保険料への影響について詳しく解説した外部記事があったので、下記に紹介します。
年金が288万円も減る 確定拠出年金「選択制」はヤバいのか(プレジデント・オンライン)
ここまで触れた厚生年金への影響について補足します。上記で触れたとおり、等級(報酬月額)が変化するために将来の受給額に影響が発生しますが、そもそも給与が高く等級が既に32等級の場合はこの点は気にせずで問題ありません。つまり、給与が高い人であれば所得税や住民税など節税効果が非常に高いため、最大で5.5万円拠出できる企業型DCはiDeCoよりも節税メリット面で有利になります。
その一方で、若手社会人の方は拠出額のコントロールを意識した方が良いかもしれません。節税の部分だけ意識してしまうと、ライフイベントに因んだ受給額に影響が生じます。
なお厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、所得税、住民税それぞれに対する節税メリットを確認したい場合は、SBI証券のシミュレーションを利用すると詳細が把握できます。詳しく確認したい方は活用してください。
加入効果シミュレーション(SBI証券)
この社会保険料控除のメリット・デメリットを踏まえると、正直iDeCoの方が複雑ではない印象があります。ただでさえ現在の企業型DCは制度が複雑でややこしいし、老後の年金にどの程度の影響が生じるのか、生活需給制度にどの程度影響するかを網羅的に把握するのは一苦労です。
そして、もし転職が発生した際も「iDeCoへの移管」もしくは「転職先企業の運営機関への移管」が発生します。であれば、最初からiDeCoの方が楽なのでは…と思ってしまいます(補足:転職先が企業型確定拠出年金を採用していた場合は、そもそもiDeCoの運用がNGになるケースもある様です)。
2022年10月の「企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和」で期待できること
選択制DC加入者にとってはメリットよりもデメリットを多く挙げてしまう内容になりましたが、希望の光があるとしたら、2022年に予定されている制度改正です。制度が変わる点はいくつかありますが、2022年10月からはiDeCo加入要件が緩和され、企業型確定拠出年金加入者が併用できる可能性が高まりました。
企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和(2022年10月1日施行)(厚生労働省)
この緩和により、あまり意識せずに選択制DCを選択してしまった私の様な加入者でも、iDeCoに加入できる可能性があります。ただ、この緩和後も「最大拠出額は月5.5万円まで」となる様なので、すでに現在5.5万円拠出している方は拠出額を減らしておく必要があります。大体の企業で拠出額変更が行えるのは年1回なので、この調整が面倒ではありますが、気になる方は来年10月までまだ時間があるので、ご自身で調べてみてiDeCoとの併用が行えるかを会社担当者に確認したり、併用する場合に拠出額のバランスをどうするのかを検討すると良いと思います。
私自身もiDeCoを併用することで、これまで選択できなかった運用商品への拠出が可能になる、転職時の負荷が減る可能性も考えられる、というメリット面を感じているので、来年10月に向けて要件緩和の件は調べていきたいと思っています。
【追記】
要件緩和について記事をアップしました。
【2022年10月施行】企業型DC加入者のiDeCo併用に向けた要件緩和について(2021/12/12)