「確定拠出年金統計資料(2020年3月末)」による、企業型DC加入者とiDeCo加入者それぞれの運用の違い

企業年金連合会のサイトには企業年金に関連した資料がアップされています。今回はその中から2020年3月末に作成された「確定拠出年金統計資料」から、企業型確定拠出年金(企業型DC)とiDeCoそれぞれの加入者がどんな運用商品を選択しているか、違いを見てみます。
なお、今回紹介する資料は以下から確認できます。41Pの構成で、36P以降は企業のIR資料?と思うくらいのデータが詰め込まれています。
確定拠出年金統計資料 2020年3月末(企業年金連合会)


【推測】企業型DC加入者とiDeCo加入者それぞれの加入背景


資料を確認する前に、個人的に感じる加入背景の違いについて触れてみたいと思います。
まず企業型DCですが、加入者の大半は所属企業による福利厚生制度によるもので、言葉を選ばなければ”強制的に”加入されているのではないか、と感じています。選択制DCを採用する企業で、自身の意向で加入している方も居ますが、どちらかといえば受動的に加入した方が多いかと感じます。個人的な推測になりますが。
一方でiDeCo加入者ですが、これは自発的に申込をしなければ開始できない状態なので、おそらくは情報収集を十分に行った上で加入を決断した方が多いと考えます。

つまり、開始段階で企業型DC加入者とiDeCo加入者には情報収集に差が生じているのではないか、そうなると運用方法も違ってくるのではないか、と考え違いが分かる資料がないか?と探して見つけたのが今回の「確定拠出年金統計資料」になります。

運用商品選択状況と商品選択割合の違い


それでは運用商品選択状況を実際に見てみます。
・企業型DC加入者
企業型DC加入者の運用商品選択割合_2020年3月
・iDeCo加入者
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※スマートフォンで見ている場合は、ピンチアウト(2本指でスマホ画面に触れたまま、指の間を離して拡大する)などで画像を大きく表示してください。

どちらの加入者も預貯金・保険などいわゆる元本確保型を選択する割合が50%でした。一方で、企業型DC加入者はややバランス型の割合が大きく、iDeCo加入者は外国株式の割合が大きいです。
補足すると企業型DC加入者によるバランス型の割合は2017年3月末:14.7%→2020年3月末:17.6%に、iDeCo加入者による外国株式の割合は2017年3月末:6.8%→2020年3月末:11.4%にそれぞれ上昇しています。
個人的にはiDeCo加入者の方がよりリスクを取る代わりにリターンを狙っている印象を受けます。

年代別の運用商品選択状況


そして次に年代別の運用商品選択状況です。
・企業型DC加入者
企業型DC加入者の年代別運用商品割合_2020年3月末
・iDeCo加入者
iDeCo加入者の年代別運用商品割合_2020年3月末
※スマートフォンで見ている場合は、ピンチアウトなどで画像を大きく表示してください。この表はPCあるいはタブレットで閲覧することを推奨します。

この表では年代によって大きく差が出ました。特に20代の元本確保型(預貯金・保険)の割合が大きく違います。企業型DC加入者が約53%であるのに対し、iDeCo加入者は約37%です。元本変動型商品に拠出金を大きく配分していることが窺える結果です。
その傾向は30代でも出ており、ここで企業型DC加入者もやや元本変動型の割合が上昇しているものの、iDeCo加入者の方が割合は大きい状態です。
そしてiDeCo加入者は40代、50代と60歳のゴールが近付くにつれて計画的に元本確保型商品の割合を増やし、運用による利益を確保するクロージングに入っています。ただこの点は企業型DC加入者のデータも同様なので、このころになるとおそらく運用について真剣に見直しが行われており、ゴールに向けたクロージングへの意識が既に高い印象です。

iDeCo加入者を見習う事によるメリット


今回はこの様な形で企業型DC加入者とiDeCO加入者の運用の違いを探ってみました。この結果を見ても、やはりiDeCo加入者は開始当初からポートフォリオについて十分に考えた上で運用を行っている印象です。一方の企業型DC加入者は、20代における選択は改善の余地があるのではないか、と感じます。おそらくは受動的に開始している事が要因ですね。

本来は企業側で開始時に充分な教育制度が設けられていることが理想なのだと思います。節税効果や運用益の非課税などのメリットを伝えるのも重要ですが、個人で運用を行うにあたり、運用ノウハウを伝えられる機会があると良いのかな、と感じます。
そして企業型DCの加入者自身でも情報収集を行う事を推奨します。確定拠出年金制度は自身の運用次第で良くも悪くもなると思いますので、何も対処しない状態は避ける様に留意して欲しいです。

ただ、今回の統計資料は2020年3月末に発表された資料ではあります。昨年頃から投資への注目度も高まり、確定拠出年金制度の記事も増えてきた印象なので、次回の資料では、企業型DC加入者の運用状況に変化が出ているかもしれません。最新資料が公開されたら改めて検証してみたいと思います。

最後になりますが、このブログでは企業年金連合会の資料を基に過去に記事を作成しています。もしよろしければその記事もご覧ください。
2021年現在の企業型確定拠出年金の実態とは?実態調査レポートから考察(2021/4/10)

著者:gnc21
東京都在住。Webサイト・スマートフォンアプリのデータ計測支援や分析業務を行う会社員。
企業型確定拠出年金の運用を2020年より開始。投資運用経験は企業型確定拠出年金のほか、一般NISAによる国内株式の特定銘柄購入、投資信託やETF購入が中心。